■ Fortunate snow ■ 「私は 冬の間にみんなを幸せにして 冬が終われば消えていく ただの雪女」 それだけの存在だったのに 彼は私に聞いてきた この雪の降る街で ずっと独りぼっちだった私に 誰にも気付かれることのなかった私に 「君の幸せはどこにあるの?」 彼に聞かれて初めて考えた 私の幸せはどこにあるのだろう それから彼は毎日のようにやってきた 今日あった出来事を ずっと私に話し続けた そして私に笑いかけてくれた 笑顔がとても嬉しかった 一緒に笑えることが とても嬉しかった いつしか私は彼に恋をした けれど 私は雪女 春が来れば消える存在 だから彼は距離を置くようになった それでも私はずっと想い続けた 彼とずっと一緒にいたい この残酷な運命を抜け出す力が欲しい 私たち ここで終わりじゃない そして 冬が終わる頃 もうすぐ消える私の前に 彼は現れた 真っ白なこの世界で 私をしっかりと抱きしめてくれた 私は泣いていた 初めて涙を流した 彼も泣いていた こぼれる涙が熱かった 「消えないでくれ!」 あぁ 私はこんなにも幸せな顔をしているというのに 抱きしめているせいで私の顔が見えないのだろう 彼はずっと泣いていた 彼に強く抱きしめられるほど その熱で私の体は溶けていく 溶けていくというのに なぜか とても心地良いのです 初めて暖かさというものを知った 私はきっと 幸せを見つけられたのでしょう ―笑顔を見せて欲しかった  君を溶かさないためなら 僕は氷にだってなろう  愛しています― ----------------------------------------------------------------- ※この設定/物語はYukiが曲を作る時に決まって思い浮かぶストーリーを 簡略的あるいは部分的に抜き出して記述したに過ぎません。 必ずしも「この曲のストーリーはこれ!」ということはないです。 皆さんが曲を聴いて別のストーリーを思い浮かべたならば、 それが皆さんにとってのその曲の世界観となります。