■ 戦蜻蛉 ■ 迫り来る戦の影 全ては強い者が正しいという世の中 強者が生き 弱者は死ぬ 生き残るには 強くなければならない そんな世の中に不満を覚えながらも 男はまた刀を振るう 男はまた一人の人間を殺した 断末魔の叫びが頭を巡る 男はまた一人の人間を殺した 返り血の臭いが気を狂わせる 命乞いをする負傷者 男はまた一人の人間を殺して 自らの狂気に押し潰されていった そしてまた ある決戦の日 敵の強さに 妻は男を止めたが 強いのはどちらか 決めなければならない 戦へと向かう道中 蜻蛉を見かけた 儚くも 懸命に飛び交う蜻蛉を見て 男はまた 生の意味を考える そして 間も無く戦は始まった 男は直感した ―今宵 交える刀は  蜻蛉の如く  瞬く間に 終わりを迎える― そして相手の刀が 男の体を貫いた だが男は死ななかった いや その相手が男を殺さなかった 男は初めて 敗北の痛みを知る 涙を雨に流され 傷を押さえながら 必死に 家までの道を逃げ帰った 家に着くと 妻は男の負傷に驚き 慌てて手当てをしてくれた 男は負傷しながらも 妻は手当てをしながらも 心はずっと穏やかだった そして囁きかける 「大切なのは あなたが生きているということですよ」 男は初めて 生の意味を悟ったのだった ----------------------------------------------------------------- ※この設定/物語はYukiが曲を作る時に決まって思い浮かぶストーリーを 簡略的あるいは部分的に抜き出して記述したに過ぎません。 必ずしも「この曲のストーリーはこれ!」ということはないです。 皆さんが曲を聴いて別のストーリーを思い浮かべたならば、 それが皆さんにとってのその曲の世界観となります。