「舞姫葬華〜蒼の館〜」小話


 響く剣戟。
 可憐に舞う木の葉のように、美しい舞い。
 楽団は懸命に曲を奏でる。
 楽団の勢いは、より強く、激しくなる。
 剣を握るは姫君と、家臣。その舞は、この世の物とは思えぬ美しさ。幻想的な響きを奏でる剣と剣は、よりスピーディーになっていく。
 合わせ、弾く剣は、その度に火花を散らし、燃え上がるような気迫を発する。
 既に、世界は変わる。その、剣舞自体が、違う世界を創造するような勢いで、二人は舞う。
 曲そのものを、幻想へと導くかの如く、その二人は世界を創る。そこに、自分の存在を生み出すように、身体を回し、舞う。
 曲が激しくなる。
 薙ぎ、払い、打ち合う。そのスピードは、目にもとまらぬ速さ。
 それを見つめる人々が釘付けになるような美しさと、速度。彼らの舞は、それだけで神聖なるもののよう。
 激しく、より激しくと、二人は舞う。剣舞を舞い、そのまま高みへと昇るかのようだ。
 そして、命が散った。